PCSJ特別講演(11/6午後)では、東工大羽鳥教授に画像符号化研究の歴史と未来について、俯瞰的にお話いただきます。

PCSJ/IMPSで初の試みとなるPCSJチュートリアル講演(11/7)では、福井大吉田教授・NTT清水氏から、画像符号化研究を始めたくなる、基礎から先端までのお話をいただきます。

ナイトセッション(11/7)では、工学院大合志教授にナイキスト限界を超える超解像についてデモも交えてお話をいただきます。

IMPS特別講演(11/8)では、NHK真島氏にハイブリッドキャストの技術概要やサービス事例その他を紹介いただきます。

どうぞご期待ください。

116() 14:4015:40 PCSJ特別講演

鳥の目で見たPicture Coding −標準化視点と画像符号化研究−

羽鳥 好律(東工大)

【概要】 私が社会人になってからの研究生活においては、殆ど全ての期間にわたり映像信号の高能率符号化に関する研究に携わってきました。またPCSJとは、その立ち上げに関わらせていただいた関係もあり、私にとっても思い出深い学会活動の一つです。

 映像信号の高能率符号化研究は今後どのように進めてゆくべきなのでしょうか?この分野は世の中のサービス動向とも深く関係し、標準化活動との関係においても或る時はアルゴリズム開発が標準化活動を促進し、また或る時は研究の枠組みがその国際標準化活動の枠組みに縛られる側面もあったように感じられます。

 講演では、H.261国際標準化活動初期における枠組み設定時の状況を紹介し、(これは私自身の現時点での符号化アルゴリズム研究の興味のありようとも関係する個人的意見ですが、)すでに検討開始時から30年を経ている2013年の今という時に至り、動き補償+DCTと称される符号化アルゴリズムの枠組みを超えようと考えるのは「いけないこと/無駄なことなのか?」を考えてみたいと思います。

 どうすれば良いのか、講演の中で考えを述べさせていただき、皆様と共に考える時を共有できれば幸いです。

 

【講師略歴】 昭和46年東京大学工学部電気工学科卒.同年 国際電信電話(株)(現KDDI)入社.平成15年より東京工業大学大学院総合理工学研究科 教授.映像信号の高能率符号化方式、ネットワークインタフェースの研究に従事.工学博士.昭和58年度電子情報通信学会論文賞,PCSJ9798及び99実行委員長,平成13,14年ヒューマンコミュニケーショングルー運営委員長を歴任,平成16年電子情報通信学会フェロー.現在、サイバーワールド(2種研)委員長.

 

117() 9:00~11:00 チュートリアル

『画像符号化事始め』〜基礎の基礎から最先端動向まで〜

吉田 俊之(福井大)×清水 淳(NTT

【概要】 MPEGが標準化されたころ、「もう符号化効率は大きくは上がらないだろう」との声もあったが、それが誤りであったことは昨今の状況が明確に物語っている。一方で、PCSJでは符号化関連の発表数が徐々に減少しているのも事実である。符号化アルゴリズムが年々高度化・複雑化している中にあって、新たにこの分野で研究を始めたいと思ってもなかなか難しいという状況も、その一因になっているように思われる。

  本チュートリアルは「事始め」として、これから研究を始めよう/進めようとしている皆さんに、この分野の「敷居」を少しでも低くし、多くの方を研究者としてお招きしたいという目的の下に企画された。符号化技術はしっかりした理論的基礎の上に複雑で繊細なアルゴリズムが乗っているという背景に鑑み、前半を「基礎の基礎」として吉田が、後半を「最先端動向」として清水が担当する。PCSJでの発表数が少しでも増えることを願ってお話を進めたい。

 

【講師略歴(吉田俊之) 1986 東工大工学部卒業.1991 同大大学院博士課程了.工博.1994 同大助教授.2003年より福井大勤務.現在,同教授.画像処理,ディジタル信号処理等の研究に従事.共著として,映像情報符号化(オーム社),画像情報符号化(コロナ社)など.PCSJ/IMPS関係では,過去に幹事,実行委員長,運営委員会副委員長等を担当し,現在は参加申込/アップロードサイトの管理人をしている.

【講師略歴(清水淳) 1992年,日本大学大学院修士課程了.同年日本電信電話(株)入社.ヒューマンインタフェース研究所およびサイバースペース研究所においてMPEG-4H.264などの標準符号化方式の研究開発に従事.現在、NTT メディアインテリジェンス研究所映像メディア符号化技術グループリーダ.

 

 

 

 

 

 


117() 19:00~21:00ナイトセッション

理論限界を超える高精細化

合志 清一(工学院大)

【概要】 映像の高解像度化はめざましく、HDTVは標準的なディスプレイとなった。4Kテレビは量販店で販売され、スーパーハイビジョンと呼ばれる8Kの放送も話題を集めている。4Kディスプレイは実用化されているにも関わらず、コンテンツ不足は否めない状況にある。現状では4Kテレビを購入しても、HDTV放送が重要なコンテンツである。しかしながら、HDTV4K変換は画像の拡大技術であり、必ずボケを発生させる。市販されている4Kテレビには超解像機能が搭載されているものの、4Kディスプレイに対応した解像度は再生されていない。

本講演では超解像に関する誤解からスタートし、現在のハイビジョンテレビ搭載されている超解像の実態について触れる。更に真の超解像の目指すべき方向性について述べる。併せてデモを行いナイキスト周波数を越える事がどのような意味合いを持つのかを映像によって示す。

 

【講師略歴】 現職 工学院大学 情報学部情報デザイン学科教授。

1981年、早稲田大学理工学研究科博士前期課程修了。同年4月、NHK入局。1984年より、放送技術研究所・技術局において、映像信号のディジタル処理、伝送・電子透かしの研究に従事。2008年より、株式会社シャープ ディスプレイシステム研究所 副所長。2011年より現職。

 

 

 

118() 9:0010:00 IMPS特別講演

放送通信連携システム ハイブリッドキャスト

真島 恵吾(NHK技研)

【概要】 NHKでは、放送通信連携サービスの実現とさらなる高度化をめざした研究開発を進めている。20139月に試行サービスを開始したハイブリッドキャストでは、放送番組を視聴しながら、インターネットから取得する放送連動型のWebアプリケーションをテレビやタブレットなどに搭載したHTML5ブラウザー上で実行させることにより、これまでにない魅力的なサービスを実現することができる。例えば、放送番組からVOD (Video On Demand) 番組へ誘導するサービスや番組と同期して関連情報を表示するサービス、SNS (Social Networking Service) と連携したサービスなど、多様で高機能な放送サービスを提供することが可能になる。本講演では、ハイブリッドキャストの基本概念、サービス事例等を紹介するとともに、技術概要や標準化状況について紹介する。

 

【講師略歴】 1984年、早稲田大学理工学部電子通信学科卒業。同年、NHK入局。1992年から放送技術研究所において高密度デジタル記録技術、サーバー型放送システム、電子透かし等のコンテンツ権利保護技術、放送通信連携システム、セキュリティ技術の研究開発に従事。現在、放送技術研究所ハイブリッド放送システム研究部主任研究員。